定款のつくり方(理論編)
【そのほかに決めること】
基本事項のほかにも、決めることがあります。これらの事項は、それぞれの会社の事情・都合によっては、必ずしも決めなくてもよいものです。
- 現物出資に関すること
- 公告の方法
- 公告の方法を官報ではないものにするときは、その方法(日刊新聞紙に掲載する方法か、電子公告)
- 電子公告をするときは、そのHPアドレス
- 法律上の支店を置くときはその住所(さらに支配人を置いてその支店の経営を任せるときは、その氏名・住所も)
- 株券を発行するかどうか
- 会社の存続期間
- 株式の譲渡制限をつけるかどうか、譲渡制限をかけたときの承認機関はどこにするか、役員の任期を何年にするか
・・・など。
これらは要するに、会社の都合で自由に決めていいものなのですが、中には、きちんと決めておかないと「もったいない」と言われているものもあります。
例えば、株式の譲渡制限についての定めです。
この定めのない会社の場合、取締役の任期は最長でも2年です。この任期が満了するごとに、たとえ役員の顔触れに変動がなくても、役員改選の手続きが必要になります(法務局へ行って、役員の重任などの登記申請をしなくてはならないということです)。
これに対して、譲渡制限のある会社だと、取締役の任期を10年まで、伸ばしていいことになっています。そうすれば、特に役員の入替えがない会社だと、任期である10年の間は、役員の重任登記が必要ないといったメリットがあると言われています。
そのほか、会社の公告(=株主や会社の債権者などに、広く法律的な通知をすること)の方法のように、会社が特に決めなければ、法律によって自動的に決められて登記簿に載ってしまうものもありますので、気をつけてください。(定款でこの方法を特に指定しなかったときは、「当会社の公告は、官報に掲載してする。」といった形で登記されます)
このように定款の書き方には、法律上のややこしい約束事がありますので、よくわからないときは専門家のアドバイスを参考にしながら作るのがよいでしょう。