電子定款認証について(その2)

Q 会社を作るときには、必ず電子定款認証にしなくてはいけないのかな。

A もちろん、従来型の紙で作った定款で認証を受けることもできるよ。ただ、その場合には、印紙税を払わなくてはいけないから、コストを抑えるという観点からは、あまりお勧めはできないな。

Q 合同会社を作るときでも、電子定款にするメリットがあると聞いたのだけど。

A 合同会社にも定款はあるのだけど、株式会社と違って、法律上、認証は受けなくてよいことになっているんだ。じゃあ印紙税も納めなくていいかというと、そういうわけにはいかないんだ。印紙税法では、課税文書を作成したときにその文書を作成した人に納付義務が生じることになっているから、出資者(社員)が定款の文面を作ってハンコを押した時点で、納付義務が生じてしまうんだね。でも、定款を紙で作らずに電子定款にすれば、先に説明したとおり、印紙税を納める必要はなくなるから、その点がメリットといえそうだね。

【解 説】

電子定款(認証完了後) 合資会社・合名会社・合同会社のことを、「持分会社」といいます。

株式会社の設立手続では、発起人は定款を作成して公証人の認証を受けることになっているのですが(法30条)、持分会社の場合には、法律上そのような定款の認証の定めがないため、認証は必要ありません(公証役場に持っていっても認証はしてもらえません)。(*注1)

そうすると、合同会社などの持分会社を作るときは、あえて定款を電子定款にする必要がなさそうに思えてしまうのですが、うっかり紙ベースで定款を作成してしまうと、印紙税の課税対象になってしまいます。

認証を受ける必要がなくても、電子定款にしておけば、印紙税分のコストを削減できるというメリットを享受できます。(*注2)


*注1 そのため、合同会社などの設立手続においては、「電子定款」の作成はあっても、「電子定款認証」というものはありえないことになります。
*注2 つまり、印紙税法は、定款(=課税文書)を作成した時点で納税義務が発生するという考え方をとっていますので、その定款が認証を受ける
    必要があるかどうかは、印紙税の納付とは関係がないのです。

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