電子定款認証について

Q 電子定款認証というのは、どういうものなの?

 簡単にいうと、定款を電子データにして、それを認証してもらうというもの。従来は、紙で作った定款を公証役場に持参して公証人の認証を受けていたんだけれども、そのうちFDに入れて持参する方式が認められるようになり、平成19年からはオンラインで申請ができるようになったんだ。もっとも、オンライン申請といっても、公証人に認証を依頼する、認証の嘱託申請がインターネットでできるようになっただけで、申請した人(発起人)は、結局は公証役場に出向かなくてはいけないけどね。

Q 電子定款認証にすると、何かいいことがあるのかな

A ズバリ、印紙税分の40,000円を納める義務がないことだね。印紙税は、「課税文書」を作成したときに、あらかじめ決められている金額の印紙税を、「収入印紙」という印紙を課税文書に貼り付けて納付することになっているんだ。印紙税法によれば、定款は確かに「課税文書」にあたるんだけれども、電子定款については、まさか印紙を電子データに貼り付けることはできないから、結局は印紙税を納める必要がないということになる。専門的には、電子定款は「電子文書」であって、これには可読性・可視性がないから、印紙税法でいう課税「文書」に当たらない、ということなんだけどね。

【解 説】

従来型の紙で作成した定款の認証を受ける場合には、通常、同じ内容のものを3部作成し、公証人に提出(認証の嘱託を申請)します。

これらは公証役場保存用・登記申請用・会社控用となります。 認証の嘱託申請にあたっては、その定款が真正に作成されたものであることを証するため、定款作成者(「発起人」又は「社員になろうとする者」)の全員が、作成した定款に実印を押印するとともに、公証役場に出頭して印鑑証明書をあわせて提出することになっています。

公証人法では、認証を行うに際して面前性の原則が採用されています。嘱託人は、作成した定款と印鑑証明書を持って、公証役場に出頭しなければならないのが原則です。

電子認証は、公証役場への嘱託申請・公証人による定款認証をオンラインで行う、というシステムです(平成19年4月から導入されました。現在は、「登記・供託オンライン申請システム」(平成24年1月から変更)によって行います)。

定款の認証を受けようとする嘱託人(発起人等)は、定款をワープロソフトなどで作成したのち、所定のファイル形式(PDF)に変換・保存の上、あかかじめ指定されている電子証明書を用いてデジタル署名します。

嘱託人は、このデジタル署名済のPDFファイル(定款)を、専用のソフトを使ってオンライン申請システムにより嘱託送信します。

このとき、どこの法務局所属の公証役場・指定公証人の認証を受けることにするかを、嘱託人が選択したうえ、その指定公証人にあらかじめ連絡をしておきます。

(指定)公証人は、公証役場備え付けの専用のオンライン回線を用いて、法務省のサーバーにアクセスし、その嘱託情報を確認します。

その後、嘱託人は公証役場に出頭します。

印鑑証明書・本人確認資料などから、確かに申請人の真意に出た嘱託申請であることが確認されると、指定公証人はオンライン上でその定款に認証を与え、そのデータのコピーを記録媒体に格納して嘱託人に交付します。

嘱託人はこの認証のための出頭のとき、「同一の情報の提供」(従来型の紙ベース謄本の交付)を受けることができます。

なお、認証手数料・電子保存手数料・同一の情報の提供に要する費用は、このときに公証役場に納付します。

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