はじめての方へ(定款の認証・電子認証について)

【定款の認証とは何でしょう】

定款は、作成する義務のある人が作れば、「完成」=法的な効力が生じる、と考えられがちですが、実はそうではないのです。

「認証」ということの意味を理解していただくために、やや冗長な感じもしますが、順に説明します。

まず、会社の定款を、出資者(発起人・社員)がつくるというのは、要するに、こういうことです。

  1. 法律で決められている事項を盛り込んだ内容にすること
  2. そのほか、会社の都合で定款に書いておけるものを、法律に違反しない形で盛り込むこと
  3. 出来上がった定款に、作成者が署名(記名)してハンコを押すこと

大抵の法律文書は、このような手順を踏めば完成するはずです(「効力が生じる」とか、「発効する」などというものです)。

ところが、定款の場合には、会社法という法律が、この発効について重大な約束事を定めています。

それは、合名会社・合資会社・合同会社の定款は、上の1.〜3.で定款が完成(発効)するのですが、

株式会社の定款は、さらに、公証人の認証を受けなければ効力が生じない、というものです。

公証人というのは、公証役場という行政機関にいる法律専門家(公務員)です。ちなみに、公証役場には「役場」と名がついていますが、村役場などの、市町村役場とは異なるものですので、ご注意を。全国に約300箇所、札幌には2箇所あります。

【認証の手続きはどのようなものなのでしょう】

認証嘱託のイメージ図

定款の認証は、平たく言えば、公証人による内容チェックです。

会社法などの法律に沿って、キチンと作られた定款かどうかを、専門的な視点から確認するのですね。

そして、問題がないとなれば、公証人がその定款を「認証」します(公証人の署名とハンコが押された認証文が定款に付けられます)。

この認証を受けるためには、定款の作成者である発起人が公証人のところへ連絡をして、認証してくださいと依頼しなくてはなりません(「認証の嘱託」といいます)。発起人が1人ならともかく、大勢いるとなると、大変です。原則として、発起人の全員が実印と印鑑証明書をもって公証役場へ行かなくてはならないことになっているからです。

そこで、発起人の代表者の人や、行政書士などの専門家に、委任状と印鑑証明書を渡して、代わりに行ってもらうことが、実務上、行われていました。行政書士や司法書士などの専門家に依頼することのメリットは、まさに、発起人の手間暇を軽減するためだったといえます。

さて、ここまでの説明が過去形だったことにお気づきですね。

実はその後、制度が変わり、現在は、専門家に定款の認証嘱託を委任することには、もう一つ、別のメリットがあるのです。

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