離婚には当事者の協議による離婚(協議離婚)と、裁判所を利用して行う離婚(裁判離婚)とがあります。
離婚協議書というのは、このうち、協議離婚に際して、
などについて、当事者間での取り決めを文書にしたものをいいます。
後掲がその書式で、離婚協議書ないし離婚給付契約書などと呼ばれます。
夫婦が合意して作成すれば、もちろん法的には有効なのですが、もっともオススメなのは公証役場で強制執行認諾文言入りの公正証書にすることです。
特に、毎月の養育費の支払い、慰謝料等の分割払いなど、離婚後も支払義務が続くような場合、将来、支払い義務の不履行があったときには、裁判所で勝訴判決をもらうことなく、比較的スムーズに強制執行をかけていくことができます。
ところが、離婚協議書訴を通常の契約書(私書証書といいます)として作っただけでは、こうはいきません。
強制執行には、一定の手順が定められているためです。
もし離婚協議書を単なる私書証書として作っていた場合には、まず、一旦は裁判所に訴えを起こして勝訴判決をもらわなくてはなりません。
訴状を提出し、書面を準備して期日に出頭し…と、法律で決められている裁判の手続きを踏んだのち、勝訴判決をもらったうえで、それに基づいて強制執行(給与の差押えなど)をしていくことになります。
この勝訴判決をもらう、というのは、実際にアクションを起こすとなると、なかなか大変な労力と費用がかかります。
離婚協議書、特に継続的な給付(支払い)が取りきめられたようなときは、はじめから公正証書にしておくのがよい、というのは、そのためです。
後掲は、離婚協議書(離婚給付契約書)の作成例です。
ちなみに,いわゆる厚生年金保険法における離婚年金分割(標準報酬改定請求)の場合には,その請求・按分割合などは公正証書その他の厚生労働省令で定める方法によらなくてはいけないので,この合意を盛り込む場合には要注意です(下記はその合意がないケースです)。
離 婚 給 付 契 約 書 夫法務太郎(以下,甲という)と妻花子(以下,乙という)は, 協議離婚することに合意する。 【親権者】 【養育費】 【面接交渉】 【財産分与】 【慰謝料】 (1)分割金の支払いを1回でも怠ったとき。 (2)他の債務につき,強制執行,競売,執行保全処分を受けあるいは公租公課の滞納処分を 受けたとき。 (3)破産,民事再生手続開始の申立があったとき。 (4)手形交換所の取引停止処分を受けたとき。 (5)乙の責めに帰することができない事由によって,所在が不明となったとき。 【通知】 【清算条項】 平成21年9月15日 (甲) 住所 東京都千代田区霞が関1丁目1番1号 氏名 法 務 太 郎 (印) (乙) 住所 東京都千代田区霞が関1丁目1番1号 氏名 法 務 花 子 (印) |
[お断り]本稿は、運営者個人が運営していたBlog(本サイトとは別サイト)内でご紹介していた記事を、若干補筆して掲載したものです。