支払に代えて別の物を給付できるようにする契約は(代物弁済予約契約書)

ときどき,お問い合わせ・ご質問がある契約書です。

個々の事情に応じて細部は適宜修正してお使いください。

これが,どういう場面で使うものなのか,簡単に解説。

例えば、こんな状況が考えられます。

A社(甲)とB社(乙)が掛で取引をしていた、と。

乙の支払が厳しくなって,ある時点で掛の取引を中止して, その時点の債務を金銭消費貸借という形にした(準消費貸借)。

ところが,その支払も厳しい状況になったので,返済の条件を見直すことにした。 甲は,引き続き乙の割賦弁済を承認する代わりに,将来,また支払が滞ったり・資産状況が悪化するなどしたら,その持っている土地を召し上げる(代物弁済する)ことで承諾した。

で 代物弁済予約を原因とする2号仮登記を乙の負担で行う,

という内容。

契約書後半には,甲が(代物弁済)予約完結権を行使する手順等が書かれていますね。

やはり最近はこういうシチュエーションは多いのかもしれませんね・・

[免責事項]下記の雛型を利用した結果生じた損害につきましては,いかなる理由があろうとも,当事務所は一切の責任を負いかねますので,あらかじめご了承の上で参考までにご利用下さい。


代物弁済予約契約書

 □□□□□(以下「甲」という。)と□□□□□(以下「乙」という。)とは,代物弁済予約につき,下記のとおり契約を締結した。

【債務】
第1条
 乙は甲に対し,本日現在,平成△△年△△月△△日付の金銭消費貸借契約に基づき,借入金債務 合計金△△△△△△円を負担していることを確認する。
 乙は甲に対し,前項の借入金債務を平成○○年○○月○○日から平成○○年○○月○○日に至るまで,毎月○○日限り,金△△△△△円宛□□回に分割して支払う。

【代物弁済予約】
第2条
 乙は,前条の甲に対する債務の代物弁済として,乙の所有にかかる後掲表示の不動産(以下「本物件」という。)の所有権を甲に移転することを予約した。

【仮登記】
第3条
 乙は,前条の代物弁済予約契約を原因として本物件につき所有権移転請求権保全仮登記申請の手続を行うものとし,その費用は全額,乙が負担する。

【期限の利益】
第4条
 乙が次の各号の一に該当したときは,何らの通知催告をも要せず,全債務につき期限の利益を失う。
(1)第1条第2項記載の割賦弁済金の支払を正当な理由なく2回以上怠ったとき
(2)自ら振り出し,若しくは裏書した手形又は小切手が1通でも不渡処分を受けたとき
(3)租税公課の滞納処分を受けたとき
(4)自らの債務不履行により,差押,仮差押,仮処分等強制執行を受けたとき
(5)破産,民事再生手続又は会社更正手続の申立をなし,若しくはこれらの申立がなされたとき
(6)解散,合併若しくは営業の全部又は重要な一部の譲渡を決議したとき
(7)監督官庁から営業取消,営業停止等の処分を受けたとき
(8)財政状態が悪化し,又はその虞があると認められる相当の事由があるとき
(9)本契約の条項に違反したとき

【予約完結通知】
第5条
 甲が本契約に基づく代物弁済の予約完結権を行使しようとするときは,乙に対し,次の事項を記載した配達証明付内容証明郵便をもって通知するものとする。
(1)1箇月経過時における甲の乙に対する債権の総額
(2)本物件の評価額
(3)本物件の評価額が第1号の債権額を超えるときは,精算金として甲が乙に支払わなければならない金額

【同時履行】
第6条
 乙が甲より前条の通知を受領した後,2箇月を経過したときは,前条第3号の精算金の支払を受けるのと引き換えに,甲に対し,本物件の所有権移転登記手続及び本物件の明渡を行うものとする。


 以上,本契約の成立を証するため本書2通を作成し,甲及び乙が記名押印の上,各1通を保有する。


平成△△年△△月△△日

              (甲)※(所 在 地) ※(名 称)
                 ※(代表取締役) (印)法人代表者印

              (乙)※(所 在 地) ※(名 称)
                 ※(代表取締役) (印)法人代表者印

[注]

※ 個人の場合には,(住 所),(氏 名)とし,個人の実印を押印。

※ 所在地/住所は,印鑑証明書記載の住所と一致させる。

※ 不動産の表示

所  在

地  番(家屋番号)

地  目(構  造)

地  積(面  積) 平方メートル(公簿による。)

[注]

※ 登記事項証明書(不動産登記簿謄本)の記載と一致させる

※ 家屋番号/構造/面積は,目的不動産が建物の場合に記載する項目

[お断り]本稿は、運営者個人が運営していたBlog(本サイトとは別サイト)内でご紹介していた記事を、若干補筆して掲載したものです。