「一般法律専門職」について

あまり聞きなれない表現ですが、行政法学の専門家の間では、行政書士は「一般法律専門職」と位置づけられているようです。

※参考:「行政書士法コンメンタール」(兼子仁、北樹出版)

行政書士法コンメンタール(一般法律専門職)

※兼子仁博士は、我が国を代表する行政法学者で、行政書士試験委員長を歴任されたことのある「大御所」と言ってよいでしょう。

 

なお、「○○士」と名のつく国家資格者をもって、「隣接法律専門職」という括りで表現されることもあります。

司法制度改革審議会の意見書(平成13年6月12日 司法制度改革審議会)でもこの呼称が用いられており、「各種専門領域における非法曹の専門家」と表現している箇所もあります。

もっとも、この「隣接」という表現の中には、法制度の在り方を、在野法曹たる弁護士を中心に据えた発想が根本にあるとして、用語のあて方として疑問を投げかける批判的な見解もみられるようです。

いずれにせよ、どのような呼称がふさわしいかどうかという問題と、現実の士業専門家の業務遂行の実態は、パラレルには捉えきれるものではないことに留意すべきでしょう。

 

[COFFEE BREAK〜管理人のコラム

個人的には、「一般法律専門職」なる用語は、その意味するところが伝わりにくい、やや紛らわしいタームではないかと感じます。

「法律専門職」には、既に「特定の専門分野を持つ法律家」という意味が包含されているようにも思えるため、それに「一般」と冠を付けて表現される「専門職」とは、一体、何者であろうかとの疑問が生じそうです。

この問題を解消させる方向としては、弁護士とそれ以外の法律専門職とを区別しない英米に倣うのも、一つの可能性としてありうると思います。ただ、我が国では(在野)法曹といえば弁護士、という意識が伝統的に根強く、また社会一般にも浸透しているため、欧米と全く同様の捉え方は困難でしょう。

あえて一つの表記を定着させる必要性の有無は置いておくとしても、各専門士業者は法律専門家としては大きくひとくくりにはでき、ただそれぞれの専門家の養成課程に鑑みてやはり峻別はなされるべきである、という観点から、たとえば「準法曹」などの用語のほうが適切ではないかと思います。